日本の既得権益について
日本社会には、長年にわたり特定の団体や企業が保持している「既得権益」が存在します。このブログでは、既得権益の意味、具体例、メリット・デメリット、そして政治・選挙との関係について説明します。
1. 既得権益とは?
既得権益とは、特定の個人、団体、企業が過去に得た利益や特権を持ち続けることです。これらの権益は、制度や法律によって保護されているため、新しい参加者がその権益に挑戦することが難しくなっています。既得権益は社会の安定を保つ一方で、競争を妨げ、技術革新を遅らせる可能性があります。また、既得権益はその分野における専門知識やインフラの維持に寄与するものの、新たな可能性を排除することにもつながります。
既得権益は、特定の業界や団体がその立場を長期間にわたり維持することで、一般市民の利益よりも自らの利益を優先する可能性があります。そのため、既得権益の存在は、日本社会の革新や変革に対する障害となることも少なくありません。
2. 既得権益を持つ団体・企業(例)
それでは、日本で既得権益を持つ団体はどのような分野に潜んでいるのでしょうか。ここでは代表的な団体・企業とその権益の内容を紹介します。
分野 | 団体・企業 | 主な既得権益の内容 |
---|---|---|
農業 | JA(農業協同組合) | 農業政策への影響、流通の独占 |
医療 | 日本医師会 | 医療制度への影響力、診療報酬の調整 |
エネルギー | 東京電力、関西電力など | 送電網の独占、地域市場の支配 |
放送 | NHK、民放連 | 放送免許の独占、広告市場の優位性 |
建設 | 大手ゼネコン | 公共事業の受注、競争排除 |
例えば、JA(農業協同組合)は農家を支援し食料供給の安定を図っていますが、その影響力が強すぎることで新規参入を妨げることがあります。また、日本医師会は医療の質を守る一方で、新しい医療技術の普及を遅らせる原因にもなっています。エネルギー業界では、東京電力や関西電力などが送電網を独占し、新規企業の参入を困難にしています。さらに、放送分野においては、NHKや民放連が放送免許を独占しており、新規参入者の道を閉ざしているのが現状です。
こうした団体や企業の既得権益は、それぞれの分野で一定の安定性をもたらしつつも、革新や競争を阻害する要因となっています。
3. 既得権益のメリット・デメリット
ニュースやネットではデメリットばかりがクローズアップされていますが、このブログでは可能な限り公平に情報をお伝えしたいと考えています。既得権益のメリットデメリットをまとめました。
メリット
- 社会の安定
既得権益は日本社会の安定を維持しています。例えばJAは農家を支援し、食料供給を安定させることで地方経済を支えていると言えるでしょう。 - 専門性の維持
既得権益を持つ団体は、その分野の専門知識を持ち、長くその分野を牽引することで、質の維持に貢献していると言えるでしょう。例えば日本医師会は医療の質を守る重要な役割を果たしています。 - インフラの安定提供
エネルギーや交通などのインフラは、既得権益を持つ企業によって安定的に提供されていると言えるでしょう。例えば電力会社の地域独占により、安定した電力供給が可能です。電力の小売り自由化によって選択肢は増えたものの、不安定な供給によって小売り事業者が倒産してしまうケースも見られました。 - 雇用の確保
既得権益を持つ企業は多くの雇用を生み出し、地域経済に貢献していると言えるでしょう。特に地方では、公共事業が地域経済を支えています。 - 政策実行の効率化
行政が既得権益団体と協力することで、政策の実行が効率的に進むことがあります。例えばJAは農業政策においてその権限をフルに活用していると言えます。
デメリット
- 新規参入の阻害
既得権益を持つ団体が市場を独占することで、新規参入が難しくなり、競争が減少します。結果として、サービスの質の向上が妨げられ、価格が高止まりすることは国民にとって不利益でしかありません。 - 技術革新の停滞
既得権益を守るために、新しい技術やサービスの導入が遅れることがあります。例えばエネルギー市場では、再生可能エネルギーの普及が他国より遅れています。 - 社会的コストの増大
既得権益を守ることで無駄なコストが発生し、それが消費者や納税者に転嫁されることがあります。競争の欠如によって公共事業の費用が膨らむケースや中抜きによるコスト増はよくニュースで見かける問題点です。 - 政治との結びつき
既得権益団体は政治家に献金し、選挙で組織票を提供することで自らの利益を守ろうとします。これにより、政治家が既得権益を守るような政策を行いやすくなります。例えば、ライドシェアの導入は既得権益団体のタクシー業界を守らない政策だったため大きな反発を受けていました。 - 秘密選挙と圧力
日本の選挙は秘密選挙が基本ですが、組織が特定の政党や候補者を支持することで、メンバーに圧力がかかり、自由な投票が難しくなることがあります。個人の自由意志による選挙ができないというのは大きな問題です。
4. 既得権益と政治・選挙の関係
既得権益は政治や選挙と深く結びついています。いくつかまとめましたので説明します。
- 政治的支援と見返り
既得権益団体は、自分たちの利益を守るために特定の政党や政治家を支援します。この支援は、選挙における組織票や政治献金として行われます。その見返りに、政治家は団体に有利な政策を進め、結果として既得権益が守られる仕組みが作られます。 - 組織票の影響力
JAや日本医師会、大手建設業者などの既得権益団体は多くのメンバーを抱えており、特定の候補者や政党を支持することで選挙に大きな影響を与えます。この「組織票」は候補者にとって重要な票源であり、団体の支持を得るためにその利益を守る政策を推進することにつながります。 - 政治献金と政策の影響
既得権益を持つ企業や団体は、政治家や政党に献金を行い、その見返りとして自らの利益を守る政策を求めます。政治献金は選挙や政治活動の資金源として重要であり、献金を行う団体の影響力が強くなるため、既得権益が維持されることにつながります。 - 社会全体への影響
既得権益団体の支援を受けた政治家が増えると、既得権益を守る政策が優先され、社会全体の利益よりも特定の団体の利益が優先されることがあります。この結果、必要な改革が進みにくくなり、新しい技術やサービスの導入が遅れるなど、社会の成長を妨げることがあります。
おわりに
既得権益は、日本社会においてさまざまな影響を及ぼしています。その存在は社会の安定を保つ役割もありますが、やはり競争や技術革新を妨げる面も否定できません。既得権益の問題を解決するには、政治の透明性や市民の監視が重要です。
特にSNSによって既得権益団体の諸事情が明るみに出ることもあり、一国民としてはチャンスだと感じています。国民の意思を無視できない状況を作りつつ、国民のための政治を本質的に訴える政党を支持することで、今の日本は変わっていくと期待しています。