こんにちは。2025年は「外国人排斥」というワードがSNSを中心に大きく取り出されました。「すべての外国人を排除する差別主義だ」と反射的に批判してしまう人々と「悪質な外国人による犯罪不起訴や迷惑行為の排除に対する法整備化」を謳い冷静な言論を求める人々との間で、時には前者が暴徒化したことも。
コンビニ、工場、介護現場、IT。気づけば、生活のあちこちで外国出身の仲間に出会う現在。「外国人とどう一緒に暮らし、働くか」を自分ごととしてどう考えれば良いのでしょうか?
ここでは、最新の数字でいまを押さえつつ、肩の力を抜いて話せる温度感で“これから”を見ていきたいと思います。
いま日本に何人いて、どれくらい働いている?
最新の公表値で確認しましょう。
指標 | 最新の公表値 | 出典のポイント |
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在留外国人数 | 3,768,977人(2024年12月末) | 法務省集計。前年から増加し、過去最高を更新。 |
外国人労働者数 | 2,302,587人(2024年10月末) | 「外国人雇用状況」の届出ベース。過去最多を更新。 |
就業者数(国内すべての人) | 60,795,000人(2024年平均) | 総務省「労働力調査」年平均。service.jinjibu.jp |
参考:特定技能の在留数 | 269,164人(2024年9月末速報) | 入管庁。伸びが速い在留資格。株式会社 グローバルヒューマニー・テック – |
この組み合わせで計算すると、外国人労働者は就業者全体の約3.4%。体感より多い?少ない?どうでしたか?
どちらにせよ、「いないわけではないし、もう珍しくもない」規模まで来ていることはお分かりになったでしょう。
どこで出会う?生活の中での外国人との「接点」
数字を暮らしに落としてみよう。製造、宿泊・外食、介護、建設は、現場体制の維持に外国人の力が欠かせないエリアです。自治体レベルでも変化ははっきりしていて、たとえば群馬県大泉町は公式サイトで「町内の外国人人口と比率」を公開しています。工業団地を抱える自治体らしく、多文化が日常化しています。(oizumimachi-kankoukyoukai.jp)
都市部では、区役所や学校の窓口で多言語対応が常識になりました。アプリや通訳サービスを併用しつつ、制度説明や生活ルールの“細かいところ”を伝える難しさが残る——というのが現場の実感。行政手続きやゴミ出し、防災のルールは、言葉だけでなく“絵+短文”のテンプレを自治体で考案し対策を行っています。
“戦力”としての受け入れ
2019年スタートの特定技能は、現場の穴を埋める実務路線でした。2024年9月末の速報では約27万人までその数は増え、外食、宿泊、介護、建設、製造などで実数が積み上がっている状態です。
楽天グループは直近の年次報告で“外国籍従業員比率23.6%”を開示。採用・評価・社内言語の整備を国籍ミックスを前提化しているのが読み取れます。リクルートダイレクトスカウト
メルカリはエンジニア組織の外国籍比率が約50%以上と公表。開発プロセスやドキュメントの英語化、オンボーディングの仕組みまで含めて外国人労働者による組織化を図っています。
この2社は特殊事例に見えるかもしれないけれど、「国籍が混ざる前提で、仕事の型を整理する」という考えは今後、ますます増えていくことになるでしょう。
誤解をほどく3つの“思い込み”
思い込み①:すでに労働力の1割(10%)が外国人
→ いまは約3〜4%。一部の現場や地域では比率が高いが、マクロで見ればまだ少数派。だからこそ、制度と現場の型を今のうちに整える余地がある。service.jinjibu.jp
思い込み②:都市観光だけの話
→ 2024年の訪日回復はニュースになったけれど(旅行消費も過去最高圏)、定住・就労のボリュームも同時に増えている。短期の“観光”と、地域に根づく“生活”は別物。自治体や事業者は後者の導線づくりが要になる。メルカリについて
思い込み③:コミュニケーションは語学力だけ
→ 数字で見えるのは在留や雇用の“量”。でも現場のつまづきは、手順・権限・連絡手段の決め方みたいな“型”の話が多い。工程表、引継ぎノート、FAQ、緊急連絡網。日本人だけのチームでも効く基本が、実は一番の近道だったりする。
学校・職場・自治体でそろえる外国籍3点セット
「導線/翻訳/責任者」の3点はどの業界においても外国籍を取り扱ううえで必須と言えるでしょう。たとえば学校なら「行事の案内(導線)/多言語の短文テンプレ(翻訳)/学年の窓口(責任者)」。工場なら「作業標準書/ピクト+動画/班長」。自治体なら「生活ルール集/イラスト冊子+やさしい日本語版/担当課」など、“誰が・どこで・いつ”迷うかは、日本人でも同じ。だから、もちろん言語や文化をある程度外国籍に合わせる必要はありますが、多文化対応=特別なことにしない設計が以外にも重要なんです。
例えば|仕事の仕組みを“多文化前提”に寄せる
- 言語:マニュアルは短文+図。議事メモは“決定事項/ToDo/期限/担当”の4行で残す。
- 時間:朝会10分で“予定・変更・注意点”を共有。残業・休日の取り扱いは明文化。
- 安全:ヒヤリ・ハットは多言語のチェックリストで回収。危険表示は色と形で統一。
- 評価:成果の見える化。属人化した“空気読み”を減らす。
こういう地味な仕組み作りが離職率をじわっと下げ、教育コストを圧縮することにつながっていきます。

参考資料はAmazonアソシエイトです
外国人受け入れは日本にとって“コスト”か“投資”か
受け入れ支援は確かに手間もお金もかかる。でも、回るように設計できれば欠員コスト(採用・教育・やり直し)は下がるでしょう。インバウンド回復や輸出・DXの文脈でも、多言語で動ける組織は強く日本の労働力人口がすぐに増えないのは総務省の年平均データが示すとおり。外からの戦力を「定着」させる設計は、じわっと効く中長期の”投資”だといえます。service.jinjibu.jp
在日外国人の”いま”
テーマ | いま起きていること | 参考・出典 |
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在留のボリューム | 在留外国人は約377万人。右肩上がりで更新中。 | 法務省(2024年12月末) |
働く人数 | 外国人労働者は約230万人で過去最高。 | 厚労省(2024年10月末) |
受け皿の制度 | 特定技能は約27万人まで拡大。伸びが速い。 | 入管庁(2024年9月末速報)株式会社 グローバルヒューマニー・テック – |
企業の実像 | 楽天は外国籍23.6%/メルカリはエンジニアの過半が外国籍。 | 企業開示・サステナビリティ情報リクルートダイレクトスカウト |
地域の現実 | 大泉町など“多文化が当たり前”の自治体で施策が積み上がる。 | 大泉町公式(人口・比率ページ)oizumimachi-kankoukyoukai.jp |
共存から共創へ、段取りの勝負にしよう
「共生」は掛け声だけでなく段取りが必要です。マニュアル作成や型にはまった対策を国籍に関係なく回せるよう整える。
その積み重ねが、離職が減る現場、安心して暮らせる地域、成果の出るチームを生むといえます。特別なことは要らない。やることはシンプルで、誰にとっても役に立つことばかり。2025年の日本は、その実務を静かに積み上げた業界から、ちゃんと働きやすく、暮らしやすくなっていくことでしょう。